あとは野となれ花となれ

!全て解決したあと
!一郎が二次創作するタイプ

「バカみてぇにイかせやがって!」

 一郎の顔面に真正面から枕が投げ付けられた。一郎は避けれる筈なのに避けることはせず、甘んじて顔面で受け止める。勢いを失った枕は重力に従い、一郎の足元に落下する。
 左馬刻が起きてぼうっとして一郎を視認してから一発目の行動がそれだった。次いで目覚まし時計が飛んでくる。一郎は目覚まし時計を手で受け止め、左馬刻から目を外さぬまま近くにある棚の上に置いた。ベッドの近くにパソコンやタブレットなどを置かなくてよかったと一郎はそんなことを考える。
 何度やめろつったか解ってんのかと左馬刻は一郎を睨みつける。一郎はその姿を見て、脳味噌を構成する細胞の過半数が可愛いと頭を抱えており、残りは知り合って彼女の元でバイトをするようになった頃に仕込まれた躾により顔を青褪めさせて背筋をしゃんと伸ばしている。背骨にある神経を直接撫でられているような、身体と心がチグハグで全く別の、ある意味同一の方向を向いている。
 普段であれば一郎は左馬刻の命令をほぼ反射で聞いてしまうところがある。なのに昨夜は、というより彼女に触れると左馬刻の命令よりも自身の欲に素直に従ってしまう。本来であればきっと止まれたのに全く止まらず左馬刻の身体を押さえつけ欲の儘に胎内を何度も自身の陰茎で擦り上げた挙げ句何度も精を放ったのだった。自分が悪いという自覚はある。というかそれしかない。誰かのせいにするつもりは微塵もなく、ただ静かに左馬刻の怒りを我が身で受け止めていた。
 数十分後、一郎はリビングにあるテーブルの上に誰も食べない甘口のレトルトカレーを温めた物を置いた。左馬刻はバターを塗った食パンを食べている。遅すぎる朝食兼昼食はそれだけで良いらしい。一郎はカレーとご飯を一緒に掬って口に含める。リンゴとハチミツが存分に使われたカレーは物足りない気持ちもするがこれはこれで美味しい。左馬刻も時間が経てば怒りも幾許か落ち着くらしい。だが左馬刻の中ではきっちりとけじめを取らせる方向に舵を切ったようだった。食卓を囲み、食事をしながらする話ではないと思いつつも、自分が原因であるために何も言えない。

「何だっけ、ほら、少し前に言ってたローションガーゼ? とか」
「アンタの口からそんな言葉が出るとは思い、ローションガーゼ!?」

 思いがけない言葉に一郎は思わず左馬刻を二度見する。驚きの余り声さえも裏返ってさえもいた。左馬刻は涼しい顔をして指先についた食パンのくずを皿の上に落としている。もぐもぐと咀嚼しながらも、何だコイツと言わんばかりの顔で一郎を見ている。

「いや、えっ……流石にリアルでもそんなこと言ったこと、」
「イッチくんのえっちな方のアカウント」
「んぐッ……」

 動揺のせいで唾が気管に入りかけた。変な汗が汗腺という汗腺からぶわっと滲み出る。左馬刻の言葉には身に覚えしかない。イッチというのは一郎の所謂趣味用の名前であり、えっちな方のアカウントというのはゾーニングのためと知り合いに見られたくないために非公開にして己の所謂夢と趣味と性癖とをごたまぜにして煮詰めて出来たものを思うままにぶちまけているアカウントだ。要するに成人向けの文章或いは画像の形で出力されたものが投稿されている。
 ここから完全な余談となるが、元々は一郎が好きな作品の感想等を呟くだけのアカウントだったのだが、今や自らが同人誌を出している状態である。初めてイベントに出るときに、一郎が追いかけている作品を合歓も追いかけていることを知り、長時間語り合った。そのときにイベントに出ちゃいなよと誰かが行ったのだ。興奮しきった状態でまともにはたらかない頭で思い付きのことを吐けば誰も止めやしない。合歓がコスプレをして一郎が出した同人誌の売り子をするという話にまとまった。衣装は乱数に頼んでみると楽しいことだらけで埋め尽くされた一郎の脳味噌はそのまま乱数に連絡をした。所謂深夜テンションの二人と仕事明けの乱数。とめるものは誰もいない。ただただ楽しいことだけが進んでいく。あれよあれよとしているうちになんと合歓は一郎が推しているキャラのコスプレを姉の左馬刻にしてみせたのだった。一郎は絶対に自分が頼んでも首を縦に振らないと知っているし理解しているしそんな気もしていたので、合歓に対して頭が一生上がらない。神様仏様合歓様だ。流石に趣味用のアカウントで成人向けの内容を投下するわけにもいかず、かといって外部サービスを使っても辿られては困るので別のアカウントを作成して今に至る。ここまで完全な余談である。
 一郎は何度か咳き込み、冷たい水を口にする。喉がひりひりと痛みを訴えた。

「……アカウント転生、最近したのに何で知ってるんすか」
「簓も知ってるぜ」

 にや、と左馬刻が口元だけで笑う。一郎は携帯を取り出し、件のアカウントでSNSにログインする。多くはないフォロワー欄をざっと見ても怪しいアカウントはない。そもそも承認するときにきちんとチェックしているし時々巡回だってしている。同じような趣味の人しかいない、筈だ。左馬刻に全年齢のアカウントがばれているのはまだ持って帰られた本の奥付にも載っているから百歩譲って良い。いくら頒布した本を目の前で読まれたとはいえ、年齢制限のあるアカウントをフォローしていると真っ向から言われると気恥ずかしいを通り越して羞恥でどうにかなりそうだ。簓にも、フォローされていることを何度か言われ、簓のアカウントを教えてくれと頼んだが教えてもらえなかった。教えたらブロックするやん、と言われた言葉がそれなりに残っている。

「俺のアカウントなんか見てマジでどうすんだよ……」
「シゴトに応用出来ねぇか考えるに決まってんだろ。……逆バニーの良さはいまいちわかんねぇけどな」
「前投げたやつ、何で見てるんだよ……!」

 あの左馬刻の口から逆バニーなんて言葉が出るとは思いたくなかった。いやこれはこれでありかもと新たな知見を得た気になる。それと同時に戸惑いと欲望塗れの投稿を見られていることによる居心地の悪さを覚える。以前簓にそのことを言えば、理解のある恋人でええやんと言われた。何も良くないし良い訳あるか。本当にされてしまったら一郎はそれこそ大きなショックで立ち直れなくなる気持ちがあるが、別に左馬刻がしてくれる訳でもない。左馬刻は一郎が呟いた逆バニーなどの要素を元にAVなどを作っているらしい。そこそこ売れ行きが良いと鼻歌を歌いながら左馬刻が言ったのを覚えている。一郎もそれを見たが的確に自身のツボに刺さり、それはもう抜けないほど刺さってしまっている。この人本を出したら良いのに、と一度言ったことがあるが左馬刻は興味なさそうだった。初体験が性癖の親とはよく言うが一郎にとっての何もかもが左馬刻に繋がっている。碧棺左馬刻という人間いなければ山田一郎という人間は存在しない。それが世界の理であるような、ごく当たり前で常識でなんてことのないことのように一郎は感じる。
 文句ねぇよな、と左馬刻に言われて一郎は頷くしか出来ない。あとは甘いだけのレトルトカレーを胃袋の中へと掻きこむだけの作業をした。
 数週間後、一郎のベッドの上で一郎と左馬刻は下着姿で向き合って座っていた。フリルのついた青いギンガムチェックの下着だ。これからけじめを取らされるというのに可愛い、と一郎は何処かずれたことを考える。普段可愛らしい下着を着ることがないので、十中八九合歓ちゃんとお揃いなのかな、なんてどうでも良いことを考える。余りじろじろ見ていたからか、可愛いだろと得意そうに笑う。やっぱり合歓ちゃんとお揃いなんだななんてことを一郎は思い浮かべながら得意そうな彼女が滅茶苦茶可愛いと心の中で頭を抱えて叫んだ。これからけじめを取らされるのに。
 二人の間にある赤色の地に銀色のラインが数本入った、括れのある円柱のような物がある。有名なメーカーのそれは使ったことこそないが見たことがある。

「結局、オナホ……なんすか」
「簓に話したらローションガーゼよりオナホのが使い易いんじゃねぇかって」

 ささらさん、と一郎の口から言葉が落ちた。ぽかんと頭上ににこにこ顔の簓が浮かび上がる。簓さんが? と左馬刻に確認するようにもう一度名前を口にする。簓、と左馬刻が応えるように言った。一郎は頭を抱えた。脳細胞の全てが羞恥により頭を抱えて悶えている。脳内にいる簓が、ダチのそんな話なんかほんまに聞きとうなかった……と頭を抱えて呻いていた。想像であるのにただ可哀想だ。スンマセン、と自分は悪くないのだけれども一郎は恐らくオオサカにいるであろう簓にこっそりと謝罪する。それでも真摯に対応しているのだから、本当に良い人だと思う。どうせ相談するなら俺にして欲しいとよく解らない嫉妬と願望の混ざったものがジタバタと暴れている。勿論そんなことを本人に言ったところで理解されないし、一郎の思う男らしいところから随分離れているために口が裂けても言えないことだ。
 左馬刻の手がオナホールの包みを開けて本体を取り出した。左馬刻が滑らか動きで一郎に近付く。一郎は反射的に身を引こうとする。左馬刻の手が一郎の肩を押した。然程強い力で無い筈なのに、一郎は仰向けに倒れる。一郎が視線を下にやると左馬刻が一郎の上に乗り上がる。逃げるなということなのだろう。逃げるつもりなんて微塵もない。左馬刻の、自身と比べてずっと色の白い身体が仄かに輝いている。赤い目と合うと、にんまりと悪戯っぽく弧が描かれる。普段見ることのない光景に浅ましくも期待と興奮が沸き上がる。左馬刻が太腿に感じた熱を見下ろして、冷たい視線を一郎に寄越した。ベルの音を聞けば唾液を零すイヌのように、狂ったようにボタンを何度も押すサルのように、もうそれだけで一郎はどうにかなりそうだ。欲だけが重曹を加えた小麦粉のように膨らんでいく。左馬刻の白くて冷たい指が一郎の腹筋の割れ目を撫でて臍の上側をくっと押した。ぴくりと一郎の身体が反応する。

「俺様に無理強いさせた一郎クンはどれくらい耐えれるんだろうなァ?」

 赤い目がにんまりと楽し気に歪められる。蛾をいたぶって遊んでいる隣の家の飼い猫を思い出させる。一郎の喉は咥内に溜まった唾液をごきゅりと飲み下した。

「まて、さまときさん、まってくれ……!」

 数十分も経たないうちに一郎は頭を何度も振った。荒い呼吸を繰り返しながらなすすべもなく与えられる快楽に喘ぐしか出来ない。夢とロマンと希望と涙ぐましい程の企業努力が詰め込まれた疑似的な女性器は何度も一郎を射精させていた。ローションと多量の精液が混ざった液体が結合部の隙間から零れ一郎の肌を濡らす。口では待ってくれというものの、腰がへこへこと揺れているのを見て、左馬刻は声を出さずに笑いを零す。簓さんで遊んでいるときの顔だ、と一郎は何処か発見した気持ちになる。

「何だっけ? ……こんなのでイっちまうのかよ、ド変態の一郎くんのチンコはほんっとザコだな」
「ぁ、」

 ぞくぞくと背筋が震えばちばちと脳細胞が破裂している。快楽という笊で脳味噌を漉されている。びくびくと腿が震えるのを見て、左馬刻はオナホールを抽挿させる手は一切止めずに一郎の耳に口許を寄せた。左馬刻の、仄かに甘いような彼女自身の香りが鼻腔を擽り性感ばかりが高まる。

「ほら、好きなだけびゅーびゅーしろや。偽物まんこによォ」
「ァ゛っ、ん゛ォ゛お……っ!」

 左馬刻の指がオナホールの空気穴を塞ぐ。抽挿を繰り返すと空気が吐き出され、吸引力が生み出され一郎の陰茎を強く吸い上げた。びくんと腰が震えた。吐精感に頭が真っ白になる。
 一郎は全速力で走ったあとみたいに何度も呼吸を繰り返させた。比較的思考が明瞭になってくる。
 左馬刻の手がオナホールを強く握りしめた。あっ、と一郎の口から嬌声が止め処無く落ちる。そのままぐりぐりと一郎の肌に押し付けさせる。吸い付くような柔らかい素材に敏感になっている陰茎を擦り上げられあっという間に硬さを取り戻してしまう。元気いっぱいだなぁと小馬鹿にするような声が遠いところで聞こえる。

「ま゛っ……ちんこっ! とける゛、とげるかあ゛ぁ゛っ!」
「何でやめてもらえると思ってんだ? あ゛?」

 こっちは何回イかされたと思ってんだと低い声で凄まれる。嘘だろ、まだ怒ってる、それもそうだよなと何処か冷静な脳味噌が納得したような声を出し、また別の所で流石左馬刻さんだと無邪気に笑っている。一向に終わりそうにない責め苦に一郎は笑うことも出来なかった。

「これで少しは懲りたろ」

 ぬぼ、と間抜けな音を立てて漸くオナホールから解放された。何度射精したか解らない。声を上げたせいか喉が痛い。一郎はのろりと身体を起こす。バカみたいに出たなと左馬刻はオナホを手放した。満足したのか興味が無くなったのか一郎には判別がつかない。白い手に付着した白濁を用意していたタオルに擦り付けている。綺麗なタオルを投げて寄越される。一郎は左馬刻だけを熱が鎮まらず、ぎらぎらとした目でずっと見ていた。左馬刻は布団に入り込んで寝る支度をしている。簓で思う存分遊びきったあとの顔と同じ表情だ。さまときさん、と僅かに痺れる舌で名前を呼ぶ。寝る、とすげない態度で返される。一郎は左馬刻の骨が浮いている肩に触れた。赤い目が一郎をちらりと見る。

「だひたい、」
「散々射精したろ」

 不機嫌さが左馬刻の顔に過る。一郎は随分前から馬鹿になっているせいで、それすらも興奮の材料となってしまう。一郎の口の端からだらりと落ちた唾液がぽたりと布団に落ちる。

「さまときさんの、ぁ……っナカに、だしたい……」

 形の良い眉が顰められた。理解できない、したくない、嫌だという顔だ。マスかいてろと素っ気なく言われる。はい解りましたと引き下がれるわけもない。一郎は左馬刻の肩を引いて寝転ばせ、上に覆い被さる。赤い目が僅かに見開かれた。

「一郎、てめ、んむっ!」

 一郎は左馬刻の口を自身のそれを重ねた。閉じられる直前に左の親指を口の隙間から挿し入れ、舌も捩じ込ませる。一郎が予想した通り、左馬刻の歯が一郎の指に食い込む。皮膚と歯のエナメル質とが摩擦でぎち、と何とも言えない音を立てた。至近距離にある血の色が一郎を睨みつける。そう言えば、自分の方が純粋な力は強いのだったと信じたくなかった現実を目の当たりにして寂しい気持ちになる。口腔内を無我夢中で荒らしている最中に背中を思い切り膝で蹴られた。う、と呻いた隙を突いて左馬刻の掌底が一郎の喉仏に叩きこめられる。言うまでもなく一郎は激しく咳き込んだ。ふんと左馬刻が鼻を鳴らす。

「俺様の睡眠時間取っ、」

 左馬刻の言葉が不自然に途切れる。一郎が左馬刻の足首を掴んだ為だ。左馬刻が蹴りの予備動作で足を引こうとしたのを一郎は純粋な腕力で防ぐ。鋭い舌打ちが一郎の鼓膜を突く。一郎は左馬刻の身体の上に乗っかっている掛布団を後方へ放り投げた。左馬刻の足を左右に大きく開かせ、自身の身体を間に滑り込ませる。クロッチの上から撫でたが然程濡れていない。一郎は手で下着を右側にずらし、肉びらを押し分ける。赤い粘膜が見えた。左馬刻の踵が一郎の肩に蹴り落された。一郎は気にせずに顔を近付けさせて舌先で溝をなぞる。びく、と左馬刻の身体が強張る。一郎は舌先を尖らせ、膣内へと挿入させた。浅い所を舌でなぞったり顔の角度を変えて奥へと舌先をやろうとする。じゅ、と音を立てて滲んだ愛液を啜りこくこくと喉を上下させる。左馬刻の脚が一郎の顔をぎち、と挟み込んだが一郎にとって然程何でもない。僅かに主張し始めた陰核に触れると、あ、と可愛い上擦った声が聞こえた。それが一郎の気を一層よくさせる。陰核を引っ掻いたり押し潰したりしては膣を舌で愛撫する。左馬刻の手が一郎の頭を何度か叩いたが、それすらも快楽や悦びとして変換される。彼女自身にその意図が一切なくても左馬刻がそうしたのだ。

「やめろ、つってんだろ!」

 左馬刻の足が一郎の顔に触れた。瞬間顔を蹴飛ばした。一郎がは、と気付くと横に倒れていた。ほんの一瞬気をやったらしい。一郎は体を起こし、左馬刻を見下ろす。細い両肩を手で押さえ、改めてベットに縫い付けた。あまりの身体の薄さにぎくりとする。一郎の鼻から垂れた赤い血が左馬刻の、薄くなった痕が残る胸元にぽたぽたと落ちた。それは肌の凹凸を伝い、赤い道を作っていく。青いギンガムチェックのフリルに染み込み、歪なシミを作る。一郎の肌の下で血液がざわめきを大きくさせる。一郎は舌なめずりをする。血の味がした。

「は、左馬刻さん……っ」

 一郎は自分の口許が笑っていることに気付いた。イヌみたいに腰をへこへこと前後に揺すり、未だ順調に血を吸って硬度を取り戻した重たい陰茎を、唾液と愛液とで濡れてている割れ目に擦り付けさせる。左馬刻の膝が確かな意図を持って一郎の脇腹に叩き込まれたが、過度の興奮のせいで痛みを感じない。はは、と笑いさえも零れた。角度を付けて肉を押し割り腰を進める。前後に腰を揺すりながら、それでも確実に肉を割り開いていく。

「はいるっ、〰〰っはいっちゃ、あ、」
「テメェが! いれてんだよ!」

 吐き捨てながら一郎の脇腹、先程と同じ箇所に膝を叩きこんだ。だが今更そんなことでとまるわけもない。あ、と短い音を出してぶるりと一郎の身体が震える。左馬刻の胎内に吐精した。一郎の食いしばった歯の隙間から荒い吐息が漏れ出る。

「ほんっと、っ――だらしねぇ、チンコだなァっ!」
「、もっと、」
「抜けダボ! っひ、んっ」

 左馬刻の言葉を右から左へと素通りさせ、一郎は欲の儘に腰を動かせる。オナホールに散々射精したのになのか、したからなのか解らないがタガが外れている。左馬刻の小さな身体を抱き竦め身動きを取れないようにした。自分だけのものにする為に腰を動かすよう本能が一郎を蹴飛ばしている。左馬刻の手が一郎の束縛から逃れようと藻掻くも純粋な腕力は一郎の方が上だ。眉をひそめて耐えるような顔が一郎の欲を煽らせる。可愛いという言葉を落として狭い胎内を何度も擦り上げる。一郎に左馬刻のことを気遣う余裕はまるでないが、膣は確かに何度も経験したことのある、絶頂に達した時と同じ動きを繰り返していた。

「さまときさっ、あっ、あ゛っ、〰〰ッ!」

 白に世界を塗り潰される。性欲も焦燥も愛しさも何もかもが。本能の儘に腰を振りたくる。真っ白い世界の向こう側で、一郎の求めている何かがあるような気がした。

「ふざけんなよ」

 後始末を終えた後で口を開いた左馬刻が放った言葉がそれだった。左馬刻に睨まれ一郎は身体を小さくさせようとする。左馬刻は鋭く舌打ちを打って、横に寝そべる。一郎はその背中をじっと見るだけだ。寝ねぇのか、と少しだけ眠たそうな声を投げられた。寝ます、と一郎は小さな声で返してのそのそとベッドに上がり込み、左馬刻が分けてくれたスペ-スに入り込む。余りくっつくと暑い、と嫌がるのであまりべたべたとくっつくことはしない。白い華奢な背中はやはり何処か光り輝いている、ように見える。すうすうと規則的な呼吸音が聞こえる。一郎は興奮がいくつか落ち着いたのか、痛覚が正しく伝わるようになった。あちこちが痛くて怖くて見ることができない。
 左馬刻にあんなに責められることは中々ない。しかもちょっとノリノリだった。大抵左馬刻が誰かで遊ぶときは反応の良い簓を筆頭としているために、こんなに構って貰ったことはない。その為に危うく新たな扉が開くかと思った。いや自分の知らないところで扉はもう既に大きく口を開いている可能性がある。逆に件のアカウントでしてほしいこと興味あることを書いておけばしてくれる可能性が、と新たな可能性が瞬く。一郎の中で内在化した簓が、自分それでホンマにええんかいなと何とも言えない顔をしてぼやいていた。

2024/03/20

about

 非公式二次創作サイト。公式及び関係者様とは一切関係ありません。様々な友情、恋愛の形が許せる方推奨です。
 R-15ですので中学生を含む十五歳以下の方は閲覧をお控えください。前触れも無く悲恋、暴力的表現、流血、性描写、倫理的問題言動、捏造、オリジナル設定、キャラ崩壊等を含みます。コミカライズ等前にプロットを切ったものがあります。ネタバレに関してはほぼ配慮してません。
 当サイトのコンテンツの無断転載、二次配布、オンラインブックマークなどはお控えください。

masterやちよ ,,,
成人済みの基本的に箱推しの文字書き。好きなものを好きなように好きなだけ。chromeとandroidで確認。
何かありましたら気軽にcontactから。お急ぎの場合はSNSからリプでお願いします。

siteサイト名:告別/farewell(お好きなように!)
URL:https://ticktack.moo.jp/

二次創作サイトに限りリンクはご自由に。報告は必須ではありませんがして頂くと喜んで遊びに行きます。

bkmてがWA! / COMPASS LINK / Lony